睡眠負債という言葉を聞いたことはありますか?
近年では睡眠に対して関心が高まっており、聞いたことが多い人も多いかもしれません。
寝不足はその日の睡眠時間が足りない瞬間的な状態を表すのに対して、睡眠負債は日々の睡眠不足の積み重ねのことを表します。
睡眠負債を貯めると、健康に多くの悪影響を与えます。
解消するためには週末に少し寝だめする程度では解消が難しく、生活習慣の見直しが必要になります。
睡眠負債とは?
睡眠負債とは日々の睡眠不足がまるで借金のように積み重なり、心身に悪影響を及ぼすおそれのある状態のことです。
睡眠不足はその日の寝不足といったように、瞬間的なものを表していますが、睡眠負債は睡眠不足がたまっている状態と考えても差し支えがないでしょう。
睡眠負債による悪影響
睡眠負債を貯めてしまうと体に様々な悪影響を引き起こします。
①マイクロスリープ
睡眠負債がたまることで引き起こされる瞬間的な眠りのことです。
マイクロスリープとは1秒から10秒ほどの眠りが生じます。
主に、睡眠不足により疲労した脳を守るための防御反応です。
車の運転中に起こると大事故につながることはもちろん、日中の活動に多くの悪影響を引きおおっこします。
②寿命が縮む
短時間睡眠の人は平均的な睡眠時間の人に比べて「6年後の死亡率が1.3倍高い」という研究結果が出ています。
ちなみにですが、同じ研究の中で寝すぎの方も寿命が短いという結果がでています。
③太りやすくなる。
サンディエゴ大学の研究によると「短時間睡眠の女性は肥満度を表すBMI値が高い」という結果が報告されています。
つまり、寝不足は太りやすくなるということです。
睡眠不足によって血糖値をコントロールする「インスリン」の分泌が悪くなる。
食べすぎを抑制する「レプチン」というホルモンが出にくくなる。
食欲を増す「グレリン」というホルモンが出る。
などの要素によって太りやすい体になるといえます。
④認知症になりやすくなる
睡眠負債や睡眠の質の低下があると認知症にかかりやすくなると報告されています。
アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβという物質は、睡眠の間に除去されているといわれています。
睡眠不足が続いてしまうと、脳から除去されるべきゴミがたまってしまうということですね。
また、一日に1時間以上のお昼寝も認知症のリスクを高めるというデータも報告されています。
⑤集中力が低下する
マイクロスリープともかかわるところですが、寝不足は集中力を下げイライラしやすくなります。
プロのアスリートが、睡眠時間をいつもより長くするだけで、パフォーマンスが上がったなどの報告もされています。
その他にも、疲れがたまりやすい、気分が不安定になりやすい、体調を崩しやすくなるなどの悪影響が考えられます。
睡眠負債がたまっているかのチェックリスト
自分が睡眠負債がたまっているのかどうかを判断するのは難しいです。
専門的な検査をするためには脳波計などの大掛かりな装置が必要となります。
なので、ここではスタンフォード大学で睡眠研究をされている西野教授によって提唱されている簡易検査法をご紹介します。
- 休日の睡眠時間が平日よりも2時間以上長い(3点)
- 気がつくと電車やソファでうたた寝をしてしまう
- ベッドに入るとすぐに眠りに落ちる
- 朝目覚めるのがつらく、すっきり感がない
- 午前中に眠くなる
- 目覚ましをかけないと起きられない
- 週に3日以上、異なった時間に眠る
一問目が3点で、ほかの問いが1点です。
合計点数が難点になりましたか?
結果は、
9点 睡眠負債で破産寸前!今すぐ十分な休息を。
6点以上 かなりの睡眠負債。生活の改善を
3点以上 睡眠負債がたまっているかも
1点以上 ほぼ良い睡眠です
0点 理想の状態!この状態をキープしましょう
チェックリストの結果はいかがだったでしょうか。
睡眠負債がたまっていそうな人は、できるだけ早めに解消したいところですね。
睡眠負債はどれくらいの時間で解消できるのでしょうか?
仕事のある平日はしっかり眠れないけれども、週末にしっかりと寝だめしているという人もいるかもしれません。
週末にまとめて眠れば睡眠負債は解消できるのでしょうか?
週末の寝だめで返済は難しい?
睡眠負債を抱えてしまっている方は、週末にたくさん眠ったとしても睡眠負債の解消は難しいです。
どれだけ眠れば、寝不足を解消できるのかという調査があります。
これは健康な人10人を、毎日無理やり14時間ベッドに入ってもらうというものです。
実験前の平均睡眠時間は7.5時間でした。
実験開始初期のころは、13時間近く眠ることができたのですが、日にちが進むうちに長く眠ることが困難になっていきました。
最終的に3週間後に平均8.2時間で睡眠時間は固定します。
この結果から考えられることは、理想の睡眠時間8.2時間に対して、毎日の睡眠負債は40分です。
その40分の睡眠負債を返済するためには、14時間ベッドにいることを3週間近く続けなくてはならないのです。
実際に睡眠負債を返済するために、毎日14時間眠り続けるというのは現実的ではありませんよね。
一度ためてしまうと返済が大変なのが、眠りの負債です。
できるだけ貯めないような生活習慣をみにつけましょう。
しかし、すでに負債を抱えている人も多いことでしょう。
では、どのような方法で睡眠負債は解消できるのでしょうか。
睡眠不足を解消する対処法
睡眠負債を解消するためには、睡眠時間を長くするのが確実です。
まずは少しでも長い時間眠ることができるように生活リズムを見直しましょう。
寝る前の自由時間を少し睡眠時間に充てることができると理想的ですね。
それが難しければ、睡眠の質を高めることを考えましょう。
同じ時間寝ていたとしても、深い眠りと浅い眠りでは、脳への影響が大きく異なります。
特に最初の90分から120分の眠りをできるだけ深く眠れるように生活習慣を見直しましょう。
ここで深く眠るためには、睡眠前にしっかりと交感神経から副交感神経へと切り替えられるような生活習慣をとることが重要です。
例えば、
- 眠る2~3時間前にしっかりと湯船につかる
- 寝る前は暗めの照明の部屋で過ごす
- 寝る前はPCやスマホなど明るい画面は避ける
- 寝る直前に興奮するような刺激の強いもの(アクションゲーム、ホラー映画)は避ける
- 起床後に朝日を浴びる などなど
ちょっとした生活習慣を変えるだけでも、睡眠の質を高かめることが可能です。
ただし、睡眠にいいとされているものだとしても、個人差がありますので自分に合ったものを増やしていくことが重要です。
自分に合った習慣を探してみましょう。
まとめ
睡眠負債を抱えてしまうと、健康面にかかわらず仕事面にも大きな影響を与えてしまいます。
また、一度負債を抱えてしまうと返済が大変です。
できるだけ負債を抱えないような生活習慣を身につけましょう。
睡眠負債を抱えないためには普段の睡眠の質を高めることが重要です。
睡眠の質を高めるための習慣は個人差が大きいので、自分に合った習慣を増やしていきましょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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