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自分に合うマットレスの選び方【寝返りと体温をコントロール】

より良い睡眠のためにはマットレス選びが重要と考える人が多いです。
しかしながら、自分に合ったマットレスがどのようなものなのかはっきりとわかる人というのは少ないのではないでしょうか?

今回は、マットレスをどのような基準で選べば良いのか、寝ている時に何が重要となっていくかについて解説していきたいと思います。
重要なポイントは「寝返りのしやすさ」と「寝心地・脱力感」です。

マットレス選びに必要な要素とは

最初にマットレスを選ぶ際に何を基準に選ぶと良いでしょうか?
この記事を読んでいるあなたも、自分に合うものが欲しいと考えているはずです。

まずは、マットレスはモノによって何が違うかをみて行ってみましょう。
マットレスを選ぶ際に重要なのは、

  1. 大きさ
  2. 柔らかさ(素材)
  3. 値段
  4. 通気性・手入れのしやすさ

この辺りを中心に選んでいくことが望ましいです。

大きさ

大きさは単純ですね。
基本的には大きいほうが良いです。
大きいというよりも広々と使えるものが望ましいと考えてください。

寝返りしても余裕のあるものが望ましいですし、一人で使えるものが望ましいです。
そのあたりは部屋の広さや予算感に応じて調整してください。

窮屈に感じるものはよくないです。
これが一番重要です。

柔らかさ(素材)

次に重要なのは、柔らかさ、つまり素材です。
この部分が難しいです。
大きさはわかりやすいですが、自分に合った素材というものはなかなかわかりにくいです。
この点に関しては、後ほど詳しく解説していきたいと思います。

値段

みなさん気にするのは、値段です。
値段は3番目くらいですかね。
ちょうどいい大きさを決めて、自分に合った素材を特定し、その上で、予算に合った商品を購入する。
値段がいいものが自分に合うとは限りません。
その辺りを勘違いしてしまう人がいるので、注意が必要です。

通気性・手入れのしやすさ

最近では、通気性がいいものが良いとされていますが、優先順位は低いと考えています。
理由は後ほど解説します。

自分に合った素材の見つけ方

さて、ここからは自分に合った素材の選び方について解説していきたいと思います。
選ぶ基準は主に二つです。

  1. 寝返りのしやすさ
  2. 脱力感(寝心地)

この二つを基準にして選ぶことが重要です。

まずは、なぜこの二つが重要ななのかをみていきましょう。

睡眠における寝返りの役割とは

まずは、寝返りです。
睡眠中の寝返りの役割についてみていきましょう。

寝返りの役割は、
①同じ場所に圧が集中することを防ぐこと
②体に溜まった熱を放熱すること
③体の位置を脳に伝えること
の3つがあげられます。

良い寝返りのためには、体の柔軟性や必要最低限の筋力が必要となります。

寝相が悪いことが悪いと考えている人がいますが、実際にはある程度の寝返りは必要なことです。

小さい子供の寝相の悪さを思い浮かべてみてください。
小さな子供は、体温調整機能が発達しきっていないため、頻繁に寝返りをします。

たくさん寝返りをすることで、圧が集中することを防ぎ、熱もこもらず長時間の睡眠が可能となるのです。
通気性の良いマットレスを選ぶよりも、しっかりと寝返りができることの方が重要です。

ここで、圧が集中しなければ、寝返りは少なくてもいいのではないか?と考える方もいると思います。
この問いに対しては、エアマットというマットレスが良い例となります。

エアマットというのは、病院などで使われる空気のベッドです。
このベッドを利用することで、全身にかかる圧を概ね一定に保つことが可能となります。

これは、自分で寝返りが打てない患者の床ずれ(褥瘡)を防ぐために、仕方がなく入れられるものです。

褥瘡とは、寝たきりなどによって、体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうことです。一般的に「床ずれ」ともいわれています。

日本褥瘡学会HP

簡単にいうと、人が生きたまま腐ってしまう状態のことです。

これを防ぐために、エアマットが使われるのですが、それにより、体が固まってしまうリスクが高まります。

一般的な体が硬いというような状態は筋肉が伸びにくくなる、という程度のものですが、エアマットを利用した方の多くは、拘縮と呼ばれる状態になっていきます。

なぜそのような状態になってしまうかというと、慢性的に筋肉に力が入ってしまうからです。

エアマットは体にかかる圧は一定に保つことができるのですが、空気の上に乗っているので、常にグラグラしてしまい、脱力することが難しいです。
つまり寝心地が非常に悪い状態となっています。

寝心地がいい状態とはどんな状態?

それでは、寝心地がいい状態とはどのような状態のことを指すのでしょうか?
これは、本人の気持ちの問題というのもありますが、体圧分散と支持力のバランスが取れている状態のことです。

またしても、ややこしい言葉が出てきてしまいました。
体圧分散というと、圧が集中していない状態のことですね。
マットレスとかのCMの時に圧が集中している部分は赤く表示されるアレですね。

圧が分散されることが絶対いいものなら、圧の集中していないエアマットレスを選ぶはずです。

しかし、そうしないのは理由があります。
人の体は部位によって重さが変わります。

上の写真を見てもわかりますが、背中や骨盤には体の重たい部分なので、真っ赤になっていますが、腕や足はそれほど色がついていませんよね。
その圧が分散されてしまうということは、体が沈みすぎるような状態になってしまいます。

柔らかすぎるマットレスに寝てみるとわかるのですが、骨盤がとにかく沈み込みます。
そのような状態では、筋肉が引き伸ばされてしまい、かえって脱力することが難しくなってしまいます。

ある程度の硬さで、体を支えられる状態は必要となります。
それを表しているのが支持力となります。

理想を言えば、立っている時と同じ姿勢を寝ている時に取れるのがベストでしょう。
そのためには、体の重たい部位、骨盤や背中などは硬めのマットレスで、足先や頭は柔らかめのものが望ましいです。

個人の体の状態に大きく左右される

さて、ここまでで、マットレスを選ぶ時には、「寝返りのしやすさ」と「寝心地・脱力感」が重要ということがわかってきました。

しかし、マットレスだけに左右されるわけではありません。
それぞれの体の大きさや体重の重さ、体の状態にも大きく左右されます。

下のイメージ図を見てください。

マットレスが、柔らかめがいいのか硬めがいいのかは人によります。

万人に合うマットレスなど存在しません

なぜなら、体格も体重も体の硬さも寝返りが上手かどうかも、全然人によって違うからです。

なので、芸能人が「自分にはピッタリでした〜」って言っているマットレスがあなたに合う保証はありません。
ましてやスポーツ選手や芸能人は、体の機能が非常にいい状態のはずです。

つまり、上の図で言えば快適な範囲がめちゃめちゃ広いわけで、その中のど真ん中にチューニングしようとしているわけです。

それを、体が硬い、運動もしていない人が同じ選び方をしたところで、同じ結果になるわけがありません。
自分に合うマットレスをなかなか見つけられないと言っている人は、まずは自分の体の状態を見つめ直し、マットレスよりも自分の体の状態が悪いということをしっかりと認識し直してください。

そこをすっ飛ばすと、どんどん自分の快適な範囲が狭くなっていき、自分に合うマットレスが見つからないと悩み続けることになります。

マットレス選び実際の手順

さて、理論的なところは説明し終わりました。

最後に実際にマットレスを選ぶ際の手順を見ていきましょう。

  1. 脱力している状態がわかる程度に体の機能を高めておく
  2. 部屋の広さを踏まえてどのサイズのベッドにするか決める
  3. その中で、自分に合いそうな素材を試してみる。実際に寝る時に使ってみることが望ましい
  4. 同じ素材のマットレスの中で、自分の予算の中で近いものを選ぶ
  5. 買う

実際に寝てみてもわからないという人は、自分に合うマットレス選びは少し早いです。

自分の体のことをもう少し詳しく認識しましょう。

ストレッチやヨガなどがおすすめです。

現代社会では、体が痛くても疲れていても、仕事や学校に行かなくてはなりません。
その過程の中で、痛みや疲れを無視していると、痛い場所も疲れている場所もわからなくなってしまうのです。

まずは、その状態を解消してください。
そうでなければ、判断が非常に難しくなってしまいます。

マットレスは家具屋さんで横になってみるのもいいですが、ホテルなどで自分に合うものがないか気にしてみたり、お試し保証のついているものを片っ端から探すのもいいと思います。

まとめ

マットレスを選ぶ時には、大きさを決めた上で柔らかさを探っていく。

柔らかさは「寝返りのしやすさ」と「寝心地・脱力感」を基準に探していく。

この二つは、圧力分散と体の支持性の二つの要素で決まる。

自分に合ったマットレスを探すことも重要だが、自分に合う範囲を維持・拡大していく意識を持つこともさらに重要。

小田桐 峻輔

小田桐 峻輔

理学療法士。日本理学療法士協会所属。 楽眠整体両国。病院、施設、在宅を経験し、眠りに悩みを抱える人が多いと感じる。身体と眠りの最適化をコンセプトにしている。

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